■  Never Let Me Go & Speed 。

今日の天気、曇り。e0082908_22223710.jpg

朝、寒くて目が覚める。
時計へ目をやると、まだ日が昇る前の刻。
カーテンが風で揺れていた。
開けっ放しで、寝てしまった。
ウッカリ。
窓を閉め、ぬくぬくとした布団に潜り込む。
至福の、とき。

カズオ・イシグロとスガシカオ(SWITCH)読了。
それぞれ全く異なる作品なのだけれど
両者が主軸にしている
「人間の存在」、「時間」、そして「自分とは何か」と
作品で問いているのをぼんやり眺めていると
誰もが考えずにはいられないことなんだな、と
両者がどこかで繋がるような、繋がらないような
なんだかそんな不思議な感じがしてくる。

カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」。
この物語は、ある登場人物の回想録が主軸。
過去と現在を行き来しながら、物語は進んで行く。
語られるのは、31歳の<介護人>という肩書きを持つ
女性の過去、現在、未来。
ジブン達に与えられた運命について
いかに知り、いかに理解し、いかに疑うのか。
そしてどのように受け入れるのか。
状況から逃げ出すことなく
限られた短い時間の中で、静かに、そして熱く命を燃やす。
孤独と戦いながら。

人間の生って、一体何なんだろうか。

際限まで削ぎ落とされ、贅肉ひとつ無く
禁欲的なまでに、抑制されている言葉たちが
より静かな切迫感を強調させている。
ものすごい、作品。
読み終えた後、しばらく呆然となった。
深い余韻にただただ身を委ねていた。
そして表紙を見て、さらに打ちのめされて。
完璧なまでの、1冊。
こんなに染み入る作品は久しぶり。

カズオ・イシグロの後に
スガシカオの処女小説を読んだ。
これを書くにあたって、その当事者の関係者にも
了承を得たと書いてあった。
彼の大事な友人と、彼自身にまつわる
大事な物語なのだろう。
彼もまた、過去・現在・未来を行き来している。
(内容に真実がどれだけあるかということは
 ひとまず置いておいて)
語られる(ベースにある)のは、過去の出来事そのものではなく
過去を思い出している「今」の自分。
この時期に、それを描くこと
過去をそして今を見つめなおすという行為は
彼にとってどんな意味を持つのだろうか。
その世界に触れて、立ち会えるというのは
商業ベースなものとはいえ、嬉しいと思う。
次回はどんな言葉が綴られるんだろうなぁ。

死を、生を、命を巡る物語たち。
そんな、読書の秋。
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by uminomiti | 2006-09-22 22:22 | これは。
ふと、なんとなく考えたこと、感じたこと、な日々。