■  灰色の頭

雨が降ってる。e0082908_22465129.jpg
部屋でぼーっとしてると
雨音が聞こえてくる。

タン、とと。タン、とと..。

絶え間なく一定のリズムで続く雨は
なんだか心地いい。
静かだけれど、暖かさを感じるというか。
雨には不思議な感覚を覚える。

子供の頃
雨が降るといつも
近所にある給水塔を見に行った。
どっしりと空に向かって伸びている
灰色の給水塔。
雨で濡れると
まるで影が塔全体をゆっくり覆っていくように
塔全体が濃いグレーに変わっていった。

空のグレーと、建物のグレー。
交じり合っていく風景。
そこにある「コンクリートの塊」が
違う「何か」になっていくような
「生もの」のような、そんな感じがした。
そこで静かに息づいているモノ、のような。

もちろんそんなことをトモダチに話しても
笑われるだけだった。
あぁ、ジブンとトモダチって同じじゃないんだ、と感じた
初めてのことだった。
話しちゃイケナイコトなんだと、その時理解した。
だから、雨が降るとこっそり1人で見に行った。
誰かとこの感じを共有するということはしなかった。

今見れば何の変哲もない、ただコンクリートの塊なのだけど
どうしてあんなに惹かれたんだろう。
今の私が言葉に表している事は
子供の頃に目に映って感じ取っていただろう
「何か」とはきっと違う。
言葉に表せない「何か」がそこにはあったのだと思う。
リアルに思い出すことは、もう難しい。
いろんなモノを
どこかで手放してしまった。

雨を見るたびに
ぼんやりとそんなことをなぞる。
だけど輪郭さえも掴めない。
夜の闇の雨。
何かを思い出させてはくれないだろうか。
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by uminomiti | 2006-05-24 22:47 | とほほ。
ふと、なんとなく考えたこと、感じたこと、な日々。