人気ブログランキング | 話題のタグを見る

■  愛しきもの。

今日の天気、曇り時どき雷のち晴れ。■  愛しきもの。_e0082908_23134249.jpg

すばやい速さで流れていく雲。
グレーの厚い雲が流れてきたと思ったら
あっという間に空一面に広がった。
と同時に、雨が降る前特有の風の香り。
静かに刻々と眼前で変化していくその姿に同調して
自分の中がなんとなくざわめいてくる。
こういう感触、ちょっと心地いい。

先日、とある人から郵便物が届いた。
中には1冊の本が入っていた。
ボロボロなカバー。優しい表紙の絵。
見た瞬間懐かしい思いに駆られた。
それは、昔大好きだった本だった。
そこには1枚のカードが挟まれ
長い間持っていた事に対するお詫びが綴られていた。
もう私自身もすっかり忘れていた本。
丁寧な人なんだな、と思った。

モノに対する所有欲が薄いだけなのかも しれないが
こう思ったりもする。
モノにはそれぞれ適材適所というようなものが
あるんじゃないか、と。
モノ自身がそれを選択するというか
それにふさわしい場所というか
呼ぶ場所というものがあるんじゃないだろうか。

本も然りで。
一度頭の中で描かれたものは
手放してどこかに行ったとしても、どうでもいいというか
それを欲する人のもとにあれば
それがそのモノにとって一番なんじゃないだろうかと
思っていた。
でも、こうしてまた本を手にしたら
なんとなく愛しくなってしまった。
でもこれはそこにある本そのものというよりも
たぶん、過去という時間に対する懐古。

長い時間を経て手元に戻った本。
もしかしたら縁がある本なのかもしれない。
共にあることを望んでくれているんだろうか、なんて
少しだけ身勝手な妄想にふけながら
愛しさをかみしめる。
by uminomiti | 2006-08-12 23:52 | とほほ。
ふと、なんとなく考えたこと、感じたこと、な日々。

by uminomiti