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  それぞれの、真実。

上演後、客席の殆どの人が立ち上がった。
  それぞれの、真実。_e0082908_12226100.jpg満場のスタンディングオーベーション。
鳴り止まぬ拍手と歓声。
それに答え幾度となくカーテンコールは続く。
劇場内が高揚した雰囲気だった。
あぁ、いい時間だったな、と心から思った。

劇場ロビーにも、興奮冷めやらぬ雰囲気が漂っていた。
濃厚に浮き出された自分の中の感情を
それぞれが言葉に変え、語り合っていた。
感情を反芻しながら、言葉を紡ぎ合わせる瞬間が
もしかしたら最も高揚しているのかもしれない。

先日、WICKEDを観てきた。
緑色の肌と魔法の力を持って生まれ、自由を求めた少女が
なぜ「悪い魔女」とよばれるようになったのか。
「オズの魔法使い」に隠された、もうひとつの「真実」とは。

WICKED(邪悪)とはどういうことなのか。
そして「善い」とされるもの。偽りの「善い」もの。
その本質は一体何なのだろう。
異端とされるもの、それを排除しようとする社会。
誰がどのようにとらえるかによって、真実の形も変わっていく。
それぞれの立場や見る視点によって
物事の理解の仕方が変わってくる。
果たして何が真実で、そして正しいのだろうか。
そもそも正しいものなんてあるんだろうか。

それぞれの、ホントウ。
それぞれの、幸せの形。
あぁ、深い物語だなと思う。

観ていて、ただのおとぎ話ではないなぁ、と。
とても緻密な「人」や「社会」そのものが描かれていて
このストーリーや登場人物が
自然と自分の中で置き換えられ
どこかしらに重ねて、考えさせられるような
不思議と揺さぶられるような作品だった。

劇場口での感想を聞いていると
悪い魔女という運命を受け入れ
自らの人生を力強く切り開こうとする
エルファバに心を惹かれた方が多いようだった。
そして、こうも言っていた。
人の幸せのために偽りの善の姿を貫こうとする
よい魔女グリンダは不憫だと。
不憫かぁ。

悩み、もがき、奮起して立ち上がる姿の主人公達に
幻想を見るのかもしれないなぁ。
自分の中の何かに期待するみたいに。
by uminomiti | 2007-07-07 12:22 | なるほど。
ふと、なんとなく考えたこと、感じたこと、な日々。

by uminomiti